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金沢地方裁判所 昭和61年(わ)49号 判決 1986年7月08日

本籍および住居

金沢市窪六丁目二八四番地

エンブロイダリーレース製造販売業

杉本高明

昭和二七年一月二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官藤原光秀出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月および罰金八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、金沢市窪六丁目二八四番地において、「杉本商店」の名称で、エンブロイダリーレースの製造販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上収入の一部を除外し、架空の仕入先を設けて仕入金額を過大に計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五七年分の実際の総所得金額が、事業所得四七四〇万三一三二円、雑所得二六六〇円の合計四七四〇万五七九二円(別紙修正損益計算書(1)参照)で、これに対する所得税額が二三〇三万八九〇〇円(税額の計算は別紙税額計算(1)参照)であるにもかかわらず、昭和五八年三月一五日、同市彦三町一丁目一五番五号所在の所轄金沢税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が三七三万〇二四八円で、これに対する所得税額が四一万四二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により昭和五七年分の右正規の所得税額と右申告にかかる所得税額との差額二二六二万四七〇〇円を免れ

第二  昭和五八年分の実際の総所得金額が、事業所得三〇四四万一二〇七円、利子所得一一万七三二〇円、給与所得二七五万円、雑所得六万三七七〇円の合計三三三七万二二九七円(別紙修正損益計算書(2)参照)で、これに対する所得税額が、源泉徴収税額二五万〇七六二円を控除すると一三九六万四二〇〇円(税額の計算は別紙税額計算書(2)参照)であるにもかかわらず、昭和五九年三月一五日、前記金沢税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が九六五万五八六九円で、これに対する所得税額が、源泉徴収税額二〇万九七〇〇円を控除すると一八二万二六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により昭和五八年分の右正規の所得税額と右申告にかかる所得税額との差額一二一四万一六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通

一  杉本和歌子、杉本俊美および浜下忠孝の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書五一通(標目番号五番ないし七番、九番ないし二一番、二三番、二四番、二七番、三〇番ないし三二番、三四番ないし六二番)

一  検察事務官作成の電話聴取書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書二通(標目番号三番、七九番)および査察官調査書二通(標目番号二二番、二八番)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書二通(標目番号四番、八〇番)および査察官調査書五通(標目書号八番、二五番、二六番、二九番、三三番)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、それぞれ所定の懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期および金額の範囲内で被告人を懲役一〇月および罰金八〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により金四万円を一日に換算した機関被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

昭和六一年七月一五日

(裁判官 楢崎康英)

修正損益計算書(1)

自 昭和57年1月1日

至 昭和57年12月31日

<省略>

<省略>

修正損益計算書(2)

自 昭和58年1月1日

至 昭和58年8月20日

<省略>

<省略>

税額計算書(1)

自 昭和57年1月1日

至 昭和57年12月31日

<省略>

税額計算書(2)

自 昭和58年1月1日

至 昭和58年12月31日

<省略>

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